人間の祖先とされるアーキアという微生物は、
海中でアミノ酸をエネルギー源として生存していました。
ある時を境に、二酸化炭素をエネルギーに変換し、
酸素を生み出す光合成微生物が急増し、海中の酸素濃度が増加しました。
この状況は無酸素環境で生息するアーキアにとって劣悪な環境となり、
生存が脅かされました。
そこで、アーキアは酸素をエネルギー源として利用できるバクテリアとの共生
することで、この危機を克服しています。このバクテリアこそ、
現在も人間の細胞内で共生しているミトコンドリアではないかという仮説が
存在します。
バクテリアにとっても、
無酸素環境で共生するアーキアの存在には利点があるでしょう。
このように、異なる生物が互いの強みを活用し、共生共栄を図る関係は、
人間社会においても重要だと考えます。
個々の不足を補い合い、協力し合って共存共栄を実現する考え方は、
家族、会社、国家など、さまざまなコミュニティや関係において重要ですよね。
酸素環境で生存するために、共生したバクテリア(ミトコンドリア)ですが
その働きについて調べてみました。
ミトコンドリアは細胞内の小器官で、
特にエネルギー生産において重要な役割を果たしています。
以下はミトコンドリアの主な働きです:
ATP(アデノシン三リン酸)の生成: ミトコンドリアは、細胞内でのエネルギー通貨であるATPを生成する主要な場所です。ATPは細胞内のさまざまな生化学的プロセスでエネルギー供給源として機能します。ミトコンドリア内でのプロセスで、食物から取り込まれた栄養分子が酸化され、ATPが産生されます。
1.酸化的リン酸化
ミトコンドリアでは、糖、脂肪、アミノ酸などの栄養分子が酸化的リン酸化と呼ばれ
るプロセスを経て、ATPが生成されます。この過程では酸素が必要で、細胞内での
酸素消費と二酸化炭素の生成といった重要な代謝プロセスが行われます。
2.細胞の代謝調節
ミトコンドリアはエネルギー生産以外にも、細胞の代謝プロセスを調節します。
これには細胞内のカルシウム濃度の調整や、酸化的リン酸化の調節、
細胞の反応速度の調整が含まれます。
3.細胞のアポトーシス(細胞死)制御
ミトコンドリアはアポトーシス、すなわちプログラムされた細胞死の調節にも関与
します。細胞内の異常なプロセスやダメージが検出されると、ミトコンドリアは
アポトーシスを開始するためのシグナルを放出することがあります。
ミトコンドリアは細胞内でのエネルギー供給源として不可欠であり、多くの生体プロセスに影響を与えます。したがって、ミトコンドリアの正常な機能は細胞や生体全体の健康に対して重要です。
年齢とともに数も機能も低下するミトコンドリア
◎基礎代謝が低下する
ミトコンドリアのエネルギー産出が変化することで基礎代謝も左右されます。数が減って機能が低下すると食事がエネルギー変換されにくく、体脂肪も蓄積されやすくなります。
◎筋力が低下する
ミトコンドリアは細胞分裂に必要なエネルギーを産出するため、骨格筋の形成に関わり、筋肉量を左右します。筋細胞の分裂・増殖が低下すると、年齢と共に筋肉も減少していきます。
◎脳機能が低下する
ミトコンドリアは神経細胞にも豊富に存在。そのため、機能が低下すると脳機能の低下や認知症、うつなどの要因となることも。
◎見た目の衰え
ミトコンドリアはカラダのメリハリに欠かせない筋肉や肌細胞を産出するエネルギーにも関係しているため、スタイルや肌の老化も左右します。